Suite Asaka



1. ファンファーレ・モーニング・ミスト

2. 黎明

3. 剋進

4. 彩夏祭


 2005年に創作されたこの作品は、学生時代から公私ともにお世話頂いている小熊俊明先生からお声をかけて下さったのがきっかけとなりました。

 小熊先生から朝霞市民吹奏楽団に対する情熱や朝霞市へ何か貢献できる事が出来ないものかというお話しを伺い、創作意欲を掻き立てられ、その後、朝霞市に何度か足を運び取材をし、また朝霞市民吹奏楽団の方々からも色々な資料や情報を提供して頂き、その作品のイメージを膨らませて創作を進めました。


 タイトルからもおわかり頂けるように組曲として、4曲から構成されています。1曲目はファンファーレとなっておりタイトルは「モーニング・ミスト」、2曲目は古くから伝わる根岸野謡を題材にした「黎明」、3曲目は朝霞市が色々な困難を乗り越えながら発展し続けるイメージを表したつもりの「剋進」、終曲は朝霞市の大イベントにもなっている「彩夏祭」です。


 1曲目のファンファーレ「モーニング・ミスト」は、当初は組曲としての計画は無く、単楽章の小品として書き上げたものです。編成もブラスセクションと打楽器のみで構成され、朝霞市民吹奏楽団第20回定期演奏会で既に初演され、その後、わずかですが修正されました。朝霞市の勢いのある発展を表したつもりです。


 2楽章の「黎明」は古くから伝わり、朝霞市の無形文化財でもある根岸野謡から1曲、「稲荷」を選びテーマとして使われています。縄文時代や弥生時代などの遺跡や発掘物も多々あり、その時代が現在ある朝霞市の源となったことを思えば感慨深いものを感じます。参考までに「稲荷」の歌詞を御紹介いたします。


  都から祝いの鶴がひとつがい

   稲荷の松へ羽交いの巣

    松はよせじと枝をよる

     そこで鶴がうたをよむ

      実なれ 花咲け そがの松

       末には鶴のすみかなる

  それもひさしき名所かな

  それもひさしき名所かな


 3楽章は「剋進」です。そのタイトルは作曲者自身の造語です。町の発展は必ずしも順調に進むものでないことは誰しも理解するところですが、きっと朝霞市の発展においても、色々な資料から例外ではなかったと想像されます。困難な問題を解決し、克服し、村が町となり町が市に発展し、更なる進歩を遂げるため色々な方々が努力されていることと思います。そうした様子をこの作品に表したつもりです。市民歌の一部が使われており、市の誇りを表したつもりです。


 終楽章は「祭」です。朝霞市の大イベントとも言える「彩夏祭」をテーマに創作したものですが、そのお祭りでも主役となる「鳴子」も楽器として使われ、また耳慣れたメロディーも断片的に現れます。また更に各楽章で使われたテーマも再び使われ、掛け声とともに終わります。


 組曲の初演は、2005年11月13日、小熊俊明先生指揮、朝霞市民吹奏楽団の皆さんによって行われました。


 写真ははリハーサル中の朝霞市民吹奏楽団の皆さんです。



朝霞市民吹奏楽団 指揮者(音楽監督) 小熊俊明 氏


  管理者の学生時代から公私共にお世話を頂いている小熊氏は非常に大切な先輩であります。

  御存じの方も多いと思いますが、東京佼成ウインド・オーケストラのトロンボーン奏者としても活躍されています(現在は退職されたいます。)。人には優しく、音楽には厳く、朝霞市民吹奏楽団のメンバーからの信望は非常に厚く、父親的存在かな、とも拝察致しました。