Yuimahl / ゆいま〜る


 「ゆいま~る」とは沖縄県の方言ですが、いろいろな意味が含まれ、それらには「助け合う」、「協力する」、「お互いが共に支えあう」などがあり、また「思いやり」という意味も含まれているようです。「ゆい」は漢字で表すと「結い」となり、結ぶ、結びつけるなどの意味があるようです。また「ま~る」は順番という意味があり、その二つが結びつけられ「ゆいま~る」になっているようです。

 沖縄県では、「ゆいま~る」は現在でも日常的に使われている言葉のようですが、第二次世界大戦の際、アメリカ軍による沖縄県上陸作戦が決行され、一般市民は戦火の中を逃げ惑う事になります。加えて日本軍による避難所退去命令や自決強要などもあり、一般市民は精神的にも逃げ場を失ってしまう事になります。

 そうした戦火の中、「ゆいま~る」と口々に言いながら、仲間を助け、戦い、あるいは逃げ惑ったというお話を伺いました。日本軍からの一般市民への命令や強要は、戦後60年以上経った現在においても事実かどうかの論議がされているところですが、現実には避難所を追い出されたり、日本軍から受け取った手榴弾で自決された方がいらっしゃったようです。

 2008年3月15日、陸上自衛隊第6音楽隊(水木勝行音楽隊長)の皆さんによって吹奏楽作品「慰霊碑の彼方に」を初演して頂きました。その時の隊員の方の中に沖縄県出身の方がいらっしゃり、その方から「ゆいま~る」という言葉を教えて頂きました。

 この作品を通じて戦時中の沖縄県民の方々の気持ちや平和を願う気持ちを汲み取って頂けたら幸いです。


 写真はベルギーのメトロポリス社から出版された楽譜です。友人からアイディアを頂き、吹奏楽作品をサキソフォーン四重奏のために、調を変えて書き直してみました。作品の内容は吹奏楽作品と全く同じです。